讃岐の田園風景の中にある昔ながらの讃岐の農家には、写真のような「越屋根(こしやね)」のある小屋をよく見かけます。これは煙草の乾燥小屋として昔使われたものです。「煙草乾燥小屋」は讃岐平野の各地に今でも点在しており、「ため池」や「おむすび山」とともに讃岐の風景を形成しています。これらの小屋は「ベーハ小屋」とも呼ばれ讃岐の原風景を作り出す一つの要素としての役割をも果たしています。
越屋根による、讃岐ならではの佇まい
讃岐舎では、このかたちを現代に蘇らせてみようと思いました。たった一つの小さな家が街に働きかける影響力を大切にしたいと考えました。家は好むと好まざるに関わらず風景を形成する一つのファクターとして存在するからです…。讃岐舎では単なる外観上のデザインとしてだけではなく、風を通し、光を取り入れる機能的な装置として越屋根を考えました。それは、夏の夜、エアコンなしで寝苦しくない環境をつくることです。
構造材あらわしという安心感。
内部の柱・梁などの構造体はそのまま見せる構造とします。構造体がそのまま見えるのは日本建築の伝統的な美しさの特徴です。柱や梁が作り出す「線の美しさ」は日本的な潔さを表現する構造美だといえます。また、木が空気にさらされていることで木は呼吸をし、室内空気を調湿してくれますし、木材自体の耐久性も向上します。木の材種は四国の「杉」か「桧」。大黒柱には香川県仲南地区(まんのう町)の檜(ひのき)を使用することも出来ます。
バリューなプライスと、それを可能にする仕掛け
人生で一番の事業となる家づくり。「木の家は良いが予算が合わず、断念せざるを得ない」というのもよくある話です。「讃岐舎」では、20代、30代の普通の御夫婦が建てられる価格帯を目指しました。コストダウンのポイントは2つ。スケルトン&インフィルな構成としてプランをフリーとし間取りの設計に掛かるコストを抑えたこと。そして、使用する部材を一定に規格化したこと。設計と施工の両面で質は落とさず無駄を省きました。